解説生放送を見て。誤解ではない、誤解ではないんだ!

この解説生放送を、見た。

要点だけ先に書く。

誤解ではない。
理解した上で根本的な点について意見している。


私はいわゆる「老害」ではない。
老害を自覚する老害などおるまいとかいった話では無く、むしろ自分は新参に位置する人間であり、また時代に応じた改革のための既存コンテンツの犠牲は本末転倒に至らない限り甘受できるし、例えばここ最近のVTuberブームによる需要を肯定的に語ったりもしているとかいった話でもない

人間誰しも価値観を更新できなければ老害たり得るのであるが、今回私が主に指摘するのは、運営側の語る価値観とその実行手段の不一致の問題であるのだ。
「価値観」は理解するし賛同もするが、手段がそれに伴っていない、という指摘だ。

今回解説放送を聞いて、確かにこちらの「誤解」はあった。あったのだが、どうも運営の方々は、今件にまつわる批判を全て「誤解」によるものと考えていないか?

一昨日(もう一昨昨日か)の放送の後の対応も、今回の解説生放送での態度も、そういう思考の元で動いていたように私には見えた。
であるならばそれは間違いだ。多少は誤解による影響もあった事は否めないが、批判の大きな要因として「小カテゴリの"代表的なタグ"での置き換え」という事実が存在するからだ。

…どうもこれを挙げると老害認定を受けやすいらしい。既存カテゴリという既得権益にしがみつき、新しいタグのランキング化を妨害する自己中であると。
しかし今わたしが取り上げるのはそういった観点からではない。今回は2つの点に絞ってその問題性を述べたいと思う。

1.安定性がない

ランキングに「安定性」がない。要は不安定に過ぎるのだ。

今回発表された仕様では、一ヶ月に一回、ジャンルごとに被投稿動画でのタグロック数などを加味した「代表的なタグ」を10~20個程度選抜し、それぞれの代表的なタグにランキングを生成するという。
本当に人気のあるタグならばこの仕様によってランキングを存続させる事ができるだろうし、またこれによって従来より容易に人気のタグをランキング化できると言うのだ。

はっきり言って、狙いの表層ばかり見て実質を考慮できていないと考えざるを得ない。
まず何故今まで人気を博したタグがカテゴリ化を望まれたかという話をせねばなるまいが、それらの要望にはそもそもランキングというものの「安定性」が前提としてある。

一度カテゴリになってしまえば、当分の間は消される事はない(永遠ではない。ファッションタグ等の件を留意すべし)のであるから、独自の順位を有し動画ごとに記録できる、カテゴリに分類しづらい動画を迷いなく投下できる、といったカテゴリに基づく恩恵を継続的に享受することになる。
これこそがタグのカテゴリ化の主要な意義であって、これまでカテゴリに求められてきた需要であって、ランキング制度の前提となる要素であるのだ。
これがなくては新しいランキングが生成されたところで意味がない。ある月間に自分の応援しているタグがランキング化されたところでまるで嬉しくない。これが問題なのだ。

人気がないタグ(カテゴリ)がランキングを失うのは仕方があるまい。そのような前例はある。過疎タグの住人として潔く諦めを付け、タグ検索やまた別のコミュニティを利用して生きてゆくしかない。
それをもって空いたリソースを新たな人気のタグがランキングを得るのは自然な流れだし、喜ばしい事だ。正直後詰めが来ないのが一番困る。

しかしながら、ランキングが出来たり消えたり出来たり消えたりピョンコピョンコピョンコピョンコ落ち着かないのは耐えがたい。どこへ行って良いのかまるで先が読めないので如何ともしようがない。これは旧来のカテゴリ、新鋭の人気タグ共に言える事だ。

現在のカテゴリタグには、それがカテゴリとして存在する事を前提とした動画シリーズやコミュニティが各々存在する。それらは帰属するカテゴリが消滅すればそれを嘆きつつもいずれかの形に移動できるが、先に述べたように行ったり来たりを繰り返されるとどっちつかずの状態が続いた上崩壊しかねないもの達だ。
同じ事が、現在カテゴリ化されていない人気タグで、ランキングが生成された場合にそれを考慮した革新ないし移動が必要とされる動画・コミュニティにも言える。

カテゴリやランキングが安定性を喪失する事は、このようにして誰も得をしない状況を生み出してしまうのだ。

そりゃあ私だって、ホットなタグでのランキング、MMD杯ZEROとかにじさんじとかの盛り上がりで出来たランキングが見たくないとは言わないさ。
しかしそういう需要は既存の小カテゴリのそれとは一切共通性を持たないんだ。
なんならそういうホット需要を見込むなら月1更新じゃあ遅すぎる。せめて週1で取らないとダメだ。

2.ジャンルの縦割りが邪魔になる

これはもしかすると運営からの説明で解消するかもしれないし、何なら私の勘違いかもしれないので、1.よりは重要度が低い。
しかし勘違いでなければ問題であるので書く。

運営からの今日書かれた告知にこうある。

たとえば、「音楽・サウンド」のジャンルにおいて、1000位まですべての動画が「歌ってみた」のタグがついているような場合であっても、「ボーカロイド」という代表的なタグを選択すると、「ボーカロイド」タグのついた動画だけが100件、ランキングで表示されます。

放送の内容を鑑みても、私の理解が正しければ、まずジャンルで動画を分け、その中でのホットなタグを月1で代表的なタグに選定し、それからそのジャンル内でのその「代表的なタグ」を有する動画をランキング化する、といった内容で良いと思う。

しかしこれは、ジャンルをまたぎうるタグのランキングが分散すると言う問題を引き起こす。

例えば東方。このカテゴリではプレイ動画、音楽アレンジ、歌ってみた、演奏してみた、MMDなど様々な方向性の動画が投稿されてきたが、新仕様ではこれらを横断しうるジャンルはない。よって6月以降投稿される東方関連動画は「エンターテイメント」「音楽・サウンド」「ゲーム」などのジャンルに分散されて投稿される事になる。

そして、上記の仕様が正しければそのそれぞれのジャンルで東方ランキングが生成される事になる。これはコミュニティにとって明らかな大打撃である。しかもそれは東方タグが代表たり得る人気を各ジャンルで持てた場合の話で、最悪分散して消滅しかねない。

同じような事がアイドルマスターVOCALOIDにも言えるだろう。

ところで過去の東方・アイドルマスターカテゴリ動画は「ゲーム」ジャンルに自動的に輸送されるらしいが、これらのカテゴリが元は「音楽」カテゴリから分離させられた事を運営は覚えているのだろうか。そして、その際の強制カテゴリ変更で混乱を生んだ事について、去年末にも自分たちが「あの混乱を再発したくない」と言っていた事を?


ではどうすれば良い?

ひとまずこれら2つの問題を解決するのであれば、既存のカテゴリ需要を満たしつつ新たな需要に応えるため、代表的なタグを年1更新の「定番のタグ」と週1更新の「話題のタグ」に分け、またジャンル分けが難しい動画のための「殿堂」ジャンルを創設(ジャンル名は何でもいい)し、かつての御三家及びバーチャル・MMDなどのカテゴリの動画の移行先をそのジャンルに設定する、といった対応も考えられるだろう。

<もう夜も遅いので一旦ここでPostして、木曜か金曜にまた加筆します。>

↑と書いておいて長らく放置してましたすいません。色々と忙しかった。

確かに運営生放送で解決した懸念もあるにはあった。動画にタグとして付いたカテゴリタグはどうするんだという問題は、タグ上限数を11個に拡大すると明言された事で解決したし、代表的なタグに対する工作が行われる可能性については、人力でのフィルタリングを行うという方針が示された。
しかしながら、今回のランキング改変計画には上記の内容も含め今なお様々な問題がある。
近いうちに諸々の問題をまとめた記事を一本書こうとしている(これはどうにかして書かないと不味い)。