カテゴリ廃止・ランキング改変問題まとめ

ニコニコ動画の根幹をなす、全36個のカテゴリ。
それが今年6月に廃止される事を知っているユーザーは、今どれほどいるだろうか。

この記事では、6月に行われる予定のニコニコ動画ランキング改変の内容を解説すると共に、カテゴリの廃止を含め、改変により引き起こされるであろう諸々の問題についてまとめる。

ランキング・カテゴリの仕様変更概要

カテゴリを廃止、ジャンルに置き換え

2007年5月以来の伝統を持つカテゴリタグが廃止され、新たな「ジャンル」に置き換えられる。廃止までに動画に付いていたカテゴリタグは通常のタグとして自動でロックされる(タグ登録数の上限が11個になる)。

ジャンルは「アニメ」「エンターテイメント」「ゲーム」「スポーツ」「ダンス」「ラジオ」「音楽・サウンド」「解説・講座」「技術・工作」「自然」「社会・政治・時事」「乗り物」「動物」「旅行・アウトドア」「料理」「その他」「R-18」「話題」の18個で構成され、うち「話題」は運営が手動で話題のタグを設置するジャンル(後述)なので、実質的には17個に絞られる。

動画投稿時に選択する区分けとしては、36個から17個へのこれまでに類を見ない大統合となる。

「代表的なタグ」の設置

「ジャンル」の区分けが大きくなる代わりに、動画投稿者がロックしたタグのうち利用頻度・再生数等の高いものを集計し「代表的なタグ」に設定、それに基づき個別のランキングを生成する。

代表的なタグの集計はジャンルごとに行われ、10~20個ほど選定される。
集計にあたって、表記揺れや工作は手動で排除する。

「代表的なタグ」は月一回の集計のたびに入れ替わり、代表的なタグから外れたタグは即座にランキング生成が停止する。2019年5月までのカテゴリタグは、ジャンルごとに分類された上で半年間固定される。

UI面では、動画投稿画面でジャンルを選択した後、選択したジャンルのその時点での「代表的なタグ」がサジェストされる。

ニコニ広告のランキング反映廃止

ニコニ広告ポイントがランキングに反映されなくなる。代替として、ランキングページにニコニ広告枠を設ける。

今回のランキング改変で唯一ほとんど批判されない要素。

ランキングのカスタマイズ機能の追加

PC版ニコニコ動画で、いわゆる「将棋盤ランキング」の自由なカスタマイズが可能となる。

将棋盤は現在の6列から5列となり、プレミアム会員はうち4列に自由に「ジャンル」を配置できる(一つの列に任意の複数のジャンルを割り当てられる)。

残り1列は先述した「話題」ジャンルが固定されており、このジャンルでは運営が手動で突発的な流行タグを指定し、そのタグが付いた動画が表示される。

その他ランキングの仕様変更

ランキングの集計方式を変更し、手動での操作も加える事で工作による順位上昇を阻止する。(工作による数値上昇そのものを防げる訳ではない)

計算式の秘匿を目的として、再生・コメント・マイリストの個別ランキングが廃止され、総合ランキングのみの提供となる。

従来の集計方法が新ランキングとの互換性を持たないため、リニューアル後の合計ランキングは2019年6月以降の数値のみを扱う。過去の合計ランキングについては、特設ページでの公開を検討中。

問題点

「代表的なタグ」の仕様が不安定すぎる

「代表的なタグ」の仕様に、安定性がない。要は不安定に過ぎる。これがカテゴリの持つ所属感、及びそれに基づくコミュニティに、深刻な打撃を与えてしまう。

ニコニコ窓口が行った「ニコニコ動画の新しいランキング 解説生放送」によれば、運営は此度の改変によって「ランキングをユーザー主体にする、民主化する」事を目的としている。
本当に人気のあるタグならば、この仕様においてもランキングを存続させる事ができるだろうし、またこれによって従来より容易に人気のタグをランキング化できると言うのだ。

はっきり言って、狙いの表層ばかり見て実質を考慮できていないと考えざるを得ない。
まず何故今まで人気を博したタグがカテゴリ化を望まれたかという話をせねばなるまいが、それらの要望にはそもそもランキング、及びカテゴリというものの「安定性」が前提としてある。

一度カテゴリになってしまえば、よほどの事がなければ消される事はないのであるから、

・独自の順位を有し動画ごとに記録できる
・カテゴリに分類しづらい動画を迷いなく投下できる

といったカテゴリに基づく恩恵を、継続的に、享受することになる。

これこそが人気タグのカテゴリ化における主要な意義であって、これまでカテゴリに求められてきた需要であって、ランキング制度の前提となる要素であるのだ。
これがなくては新しくランキングが生成されたところで意味がない。ある月間に自分の応援しているタグが「代表的なタグ」になったところでまるで嬉しくない。これが、問題だ。

人気がないタグがカテゴリを失うのは仕方があるまい。「ファッション」「ひとこと動画」など、そのような前例はある。過疎ったタグの住人として潔く諦めを付け、タグ検索や別のコミュニティを利用して生きてゆくしかない。
それをもって空いたリソースで新たな人気のタグがランキングを得るのは自然な流れだし、喜ばしい事だ。
正直後詰めが来ないのが一番困る。

しかしながら、ランキングが出来たり消えたり出来たり消えたりピョンコピョンコピョンコピョンコ落ち着かないのは耐えがたい。どこへ行って良いのかまるで先が読めないので如何ともしようがない。これは旧来のカテゴリ、新鋭の人気タグ共に言える事だ。

もう少し具体的に話そう。現在のカテゴリタグには、それがカテゴリとして存在する事を前提とした動画シリーズやコミュニティが多々存在する。
それらは帰属するカテゴリが消滅すればそれを嘆きつつもいずれかの形に移動できるが、先に述べたような行ったり来たりを繰り返されると、どっちつかずの状態が続いた上崩壊しかねないもの達だ。
同じ事が、現在カテゴリ化されていない人気タグで、ランキングが生成された場合にそれを考慮した革新ないし移動が必要とされる動画・コミュニティにも言える。

カテゴリやランキングが安定性を喪失する事は、このようにして誰も得をしない状況を生み出してしまう。

そりゃあ私だって、ホットなタグでのランキング、MMD杯ZEROとかにじさんじとかの盛り上がりで出来たランキングが見たくないとは言わないさ。
しかしそういう需要は既存の小カテゴリのそれとは一切共通性を持たないんだ。
なんならそういうホット需要を見込むなら月1更新は遅すぎる。最低限、週1回は取らないとダメだ。

カテゴリのジャンルへの統合があまりにも乱暴すぎる

運営によると、ジャンルは従来のカテゴリグループ(将棋盤の縦列)に相当するスケールで設計されている。

運営は、従来のカテゴリタグにおける区分の如何に関わらず、各ジャンルの名称に対応した動画が投稿される事を想定・推奨しているらしい。

例えば、東方Projectの実況プレイ動画と東方曲の歌ってみたは現在「東方」カテゴリに投稿される事が多いが、改変後は実況プレイ動画を「ゲーム」ジャンル、歌ってみたは「音楽・サウンド」ジャンルに投稿する、といった形だ。

しかしながら、この方針には2つの問題がある。まず、果たしてこの従来のカテゴリにとらわれないジャンル登録が実現するのかという点についてだ。

此度のランキング改変について公表された2019年3月11日以降は、既に動画投稿画面で投稿者がジャンルを指定するようになっている。しかしそれより前に投稿された動画では、既に指定されているカテゴリタグを基に、図のように機械的なジャンルの設定が行われている。
そのように自動で設定されたジャンルが意に沿わないものであった場合、マイページの「動画情報の変更」からジャンルの変更を行うよう運営は求めているが、あまりにも情報の周知が不足している現状からすると、ほとんどの動画がデフォルトの移送先ジャンルに留め置かれる事となるだろう。

加えて、先に「代表的なタグ」の解説で挙げた「2019年5月までのカテゴリタグは、ジャンルごとに分類された上で半年間固定される」という仕様が、カテゴリタグと改変後のジャンルとをガッチリ紐付ける効果をもたらしている。
この仕様は、カテゴリ体制からの移行措置として用意されたもので、通常「代表的なタグ」が前述の通り月一更新のたびに消滅しうるのに対し、現在カテゴリタグとして存在するタグは”半年間に限って”「代表的なタグ」内での存在を保証されるというものだ。
そして、これら人為的に設置される旧カテゴリタグ出身「代表的なタグ」は、先ほどのカテゴリ-ジャンル対応表に基づいたジャンルに設置される。
要するに、カテゴリの廃止から半年間は「旧カテゴリタグは特定のジャンルに固定される」状態となるので、当然、投稿される動画も旧カテゴリに基づいて特定ジャンルに紐付けられる事になるのだ。

もう一つの問題は、もし仮に運営の思惑が実現したとしても、ジャンルの縦割りが邪魔になる、という事だ。

先述の通り、「代表的なタグ」の選定はジャンルごとに行われる。
よって「代表的なタグ」のランキングは、まずジャンルで動画を分け、その後に各ジャンル内の動画からそれぞれの「代表的なタグ」ランキングを生成する形をとる。

しかしこれは、ジャンルをまたぐ人気タグのランキングが、ジャンルごとに別々に集計・生成されると言う問題を引き起こす。

先ほど例に挙げた「東方」タグで見てみよう。現在の東方カテゴリでは実況プレイ動画、音楽アレンジ、歌ってみた、演奏してみた、MMDなど様々な方向性の動画が投稿されているが、新仕様ではこれらを横断しうるジャンルはない。
よって6月以降投稿される東方関連動画は「エンターテイメント」「音楽・サウンド」「ゲーム」などのジャンルに分散されて投稿される事になる。

そして、上記の仕様によれば、そのそれぞれのジャンルで別々に東方ランキングが生成される事になる。これはコミュニティにとって明らかな大打撃である。
しかもそれは東方タグが「代表的なタグ」たり得る人気を各ジャンルで持てた場合の話で、最悪ランキングが消滅しかねない。

同じような事がアイドルマスターVOCALOIDにも言えるだろう。

ところで過去の東方・アイドルマスターカテゴリ動画は「ゲーム」ジャンルに自動的に輸送されるらしいが、これらのカテゴリが元は「音楽」カテゴリから分離させられた事を運営は覚えているのだろうか。
そして、その際の強制カテゴリ変更で混乱を生んだ事について、去年末にも自分たちが「あの混乱を再発したくない」と言っていた事を?

動画の「過去○位」表示がジャンル単位になる

動画プレーヤーの右上にある、順位表示。
現在ここではカテゴリランキングの前日順位と過去最高順位が表示され、投稿者のモチベーションの一つとなっている。
しかし、動画投稿時に選択する区分けがカテゴリからジャンルになる以上、当然ここの順位も「ジャンルランキングのもの」に変わる予定である。
つまり、例えばボカロ曲を投稿したとして、今まではVOCALOIDカテゴリでの順位が表示されていたところ、改変以後は「音楽・サウンド」ジャンル内での順位が残るようになる。
ちなみに旧カテゴリタグで音楽・サウンドジャンルに移送されるものの一覧がこちら。
そして、今までに投稿した動画の順位記録は、此度の改変と共に、消えてしまう。

一応、要望を受けて「代表的なタグ」単位での順位表示も検討中ではあるらしいが、3月に「検討する」と言ったきり続報がない。
仮にそれを実現させるとして、動画にロックされたタグのうちどの「代表的なタグ」を採用するのか(一つの動画に複数の「代表的なタグ」が存在する事は十分あり得る。例えば「VOCALOIDオリジナル曲」タグが代表入りする可能性もあるのだし)、採用された「代表的なタグ」が代表落ちしたらどうなるのか、といった問題が噴出する。

また、現状は300位辺り(音楽・ゲーム・エンタメ・アニメカテゴリは1000位?)まで集計・記録しているとおぼしきこの順位表示であるが、改変後のランキングは「代表的なタグ」では100位、ジャンルでも1000位までしか集計されないようであり、これもまた問題視されている。(※この点は下調べが済んでおらず若干不確かです)

過去順位表示に関しては、「現在は1日1回の集計時の順位で過去最高順位を記録しているが、改変後は毎時単位での最高順位を記録する」という改善ポイントもある事にはあるのだが、上記の諸々の問題で霞んでしまっている。

ランキング動画への影響

※この部分の記述は実際に大手ランキング動画製作者の方々からお話を伺った上で書いている。

ニコ動の歴史を彩ってきた、ユーザー製のランキング動画。
今回のランキング改変が発表された時、いわゆる新着縛りを設けていないランキング動画は、すべて廃業を言い渡されたに等しかった。

というのも、現在ほとんどのランキング動画は、各カテゴリの再生ランキング・コメントランキング・マイリストランキングのRSSをニコニコランキングメーカーで取り出して、その数値を各々の計算式に当てはめる事で製作されている。
カテゴリが廃止されるばかりか、再生・コメント・マイリストの各ランキングさえも工作対策のためにブラックボックス化される今年6月以降に至っては、集計対象の動画での値を手動で逐一入手しなければならない訳だが。
新着縛りさえあれば、APIを利用してなんとかできない事もないものの、過去全ての動画から集計するタイプのランキングではまずそれは不可能であるからだ。

具体的には、週刊ぼかうたらん・歌らん・ニコランなどは、このままでは6月以降に投稿が継続できなくなる。

幸いにも、運営はランキング動画の存続について強い関心を示し、何らかの形でデータ提供を行う腹づもりを明かした。
しかしながら、もう5月も終わろうというのに未だ具体的な提供方法が一切告知されていない。
これについてランキング編集者の中にも不安を抱く方が出ている。
ランキング作成ツールの改造にも時間を要するし、この分だといくつかの週間ランキングは改変前後に休止期間がおかれるかもしれない。

再生・コメ・マイリス累計合計ランキング消失

さて皆様、大分前の方で挙げたこの改変内容を思い返して欲しい。


「計算式の秘匿を目的として、再生・コメント・マイリストの個別ランキングが廃止され、総合ランキングのみの提供となる。」


これらが何を意味するか、おわかり頂けるだろうか?
各要素の個別ランキングが廃止される。これには当然合計ランキングも含まれる。つまり我々ユーザーは、6月の改変以降、「今ニコニコ動画で一番再生数の多い動画」を知る手段、カテゴリ合算 合計 再生 ランキングを失う。(ここで画像フェードで出す)
コメント、マイリスについても同じである。

合計再生・コメント・マイリスランキングが無くなる事によって、「けもフレ1話がごちうさ1話の再生を抜いた」とか、「VOCALOIDオリジナル曲で一番累計コメント数が多いのはうろたんだー」とか、そういった話が一切できなくなってしまうのだ。

再生・コメント・マイリスの各ランキングを廃止する理由は、工作者がランキングの計算式を暴くのに利用される事を恐れての事と、運営からは説明されている。
しかし合計ランキングにおいてはこういった事は一切関係ないはずだ。なぜなら、一般に公開されているAPIを用いれば、簡単に全動画の再生・コメ・マイリスを上から順に出せる、つまりコマンドが叩ければ合計再生・コメ・マイリスランキングと同じデータが得られるのであるから、これを隠したところでAPIを叩けない一般ユーザーが困るだけだ。
これは地味で、それでいて大いなる問題である。

過去ランキングが見えなくなる

現在はプレミアム会員特典として過去のランキングがGUI上で閲覧できるようになっているが、改変後は過去の「代表的なタグ」をUI上で再現する事が難しいので、データとしてのみの提供になる。このデータは誰にでも閲覧可能。
この点もデータの参照性が低下するとして批判があるが、それ以前に、提供される「データ」なるものの形式や内容がランキング動画の件と同じく未だ判明していない点が真の問題だろう。

「ランキングのカスタマイズ」の問題

将棋盤ランキングのカスタマイズは、確かにユーザーからの要望にはあった。
しかし、これはカテゴリタグの存在を前提とした要望だった。つまり、ある列にはMMDを、ある列には歌ってみたを、というカスタマイズが求められたものなのだ。
しかし実際の仕様では、あくまで17個のジャンルをグループでくくって配置できる機能に過ぎず、任意のタグを配置する事ができない。
繰り返すがこれはある程度文化別に分けられたカテゴリタグというものを自由に配置するからこそ意味のある要望であって、改変後のような凄まじく大ざっぱなジャンル区分けをもってしてはほぼ何のメリットもない。

また盤中の一列に固定されるという「話題」ジャンルであるが、これは先に挙げたとおり運営が主導で人気のタグを配置し、そのタグをロックした動画が表示されるジャンルであり、これをもって月一更新の「代表的なタグ」がカバーできない突発的な流行をおさえるという。
つまるところここには「運営公認おもしろコンテンツ」が陳列される事になる。

ろくでもない事になるのは、容易にご想像頂けるかと思う。

それよりは「ジャンル合算総合ランキング」を入れる方が良いのでないか、という意見もある。


まとめ

ニコニコ運営は、川上時代のniconico(く)発表会の教訓から「ユーザーとの対話」を重視する方針を打ち出し、Twitter窓口の開設やユーザーと交流・議論するSlack鯖の開催などの様々な対話施策を行ってきたが、ここにきて再びかつてのようなディスコミュニケーション病を発症してしまった。

窓口担当の生放送において、運営は「ユーザーの声を聞いて」今回のランキング改変に至った、というような口ぶりをしばしば使っていた。
しかしこれは欺瞞である。

運営は、今挙げたSlackの一つ、「ニコニコ動画カテゴリ検討Slack」においてユーザーから出された意見を元に今回の改変を行うものとしている。
ところが、そのSlackにおいて、長期的なランキングのありように関する明確な結論は出ていない。

つまるところ、あのSlackでユーザー各々が奔放に投げあった、纏まりを持たない意見のかたまりから、自分たちの望む方向性に合ったものを抽出したことを、意見を聞いた実装としているのだろう。

それどころか運営は、あのSlackでユーザーが出した意見による成果を台無しにしたり、意見そのものを歪曲して捉え実装したりしている。

まずわざわざSlackでの議論を経て設置した「バーチャル」「MMD」「ASMR」「鉄道」「TRPG」5つの新カテゴリタグだが、これらのうちほとんどが改変によって(半年の特別固定期間が終わった後に)消滅の危機にある。

「バーチャル」はバーチャルYouTuber関連動画を扱うもので、このカテゴリ名について商標云々で激論になったのだが、タグの人気的に「バーチャルYouTuber」の方が代表的なタグとして残る可能性が高い。「MMD」はマルチデバイス的観点からタグ名の長さが云々で略称の方が採用されたのであるがこれも同じく「MikuMikuDance」が残る可能性が高い。つまり元の木阿弥という訳だ。

この2つはまだマシな方で、「ASMR」と「TRPG」は移送先ジャンルが激戦区なのでほぼ確実に消滅する。そもそもこれらのカテゴリは運営が「投稿数がそう多くなくとも独自の文化を持つもの」として追加を提案したものなので、タグとしての人気を最重要視する今回の改変とは相反する存在である。
こうしたカテゴリが得たばかりの独立性を喪失する不安定さが、そのコミュニティに深刻な打撃を与える事は先述したとおりである。唯一残りそうなのは「鉄道」くらいか。

つぎに意見の歪曲についてだが、まず先に挙げた「ランキングのカスタマイズ」の話もそうだが、カテゴリ検討Slackで出された「公式アニメ」カテゴリの設置案もこれに含まれる。

アニメカテゴリからアニメの公式配信を隔離するこのカテゴリは、一旦Slackで設置が約束されたものの、「公式配信用のツールでアニメカテゴリをハードコーティングしていた」という理由から延期になっていた。
そして此度の改変で、運営は「将棋盤ランキングのカスタマイズで、チャンネル動画を含むかどうかカスタムできる」事をもってこの意見に応えたとしている。

これもまた要望の意図を大きく読み間違えたものである。公式アニメを隔離すべきだという要望は、将棋盤では無くアニメのランキングページを見やすくしたい、また動画プレーヤー上の過去順位が公式アニメによって著しく下がるのを防ぎたいといったニーズからなされたものであって、将棋盤のカスタマイズではこれらへの対応にはなっていない。

運営のディスコミュニケーション再発を示す兆候は他にもある。先述したランキング動画への対応の件だ。
運営は、以前行われた生放送APIの仕様変更について、窓口で大きく告知した上で一ヶ月半の移行期間を取り、関連するユーザー製ツールの製作者に対し期間中のツール改修を求めた
しかしながら此度の改変においては、ランキング動画制作ツールの大幅な改修が避けられない状況であるにもかかわらず、未だ新しいデータ提供の方法について告知されていない訳だ。

そしてこれらの変更は、ベータ版提供等の措置を一切執らず、今年6月に突然行われる。

現状ちゃんと周知できてないだろこれ

なまじジャンルの設定が奥深くにしまわれているために、カテゴリがジャンルに置き換わる事が全く周知できていない。集計母体の変更は投稿者へ特に影響するものだから、マイページやら何やらにしつこいほど告知すべきだろう。何故たかが二、三のインフォでお茶を濁しているのだ。

特に、既に動画投稿時にジャンルを設定する必要が出ている事が知られていないのがものすごくまずい。3月11日以降今までに投稿された動画で、「ジャンル未設定」=6月の改変以後にランキングに載らない状態 になっている動画がどれほど多くある事だろうか。

運営に求める事

運営の思考として、カテゴリとランキングを紐付けしているのが良くない。

運営の尾崎さんは「ランキングをユーザー主体にする、民主化する」という考えで動いているそうだが、「ランキングのニーズ」はある程度見通せている割に、本来それと同期する必要のないカテゴリの仕様まで一緒にいじろうとしているのが現状だ。
カテゴリのランキングはあった方が良いにしても、ランキングはカテゴリ以外の集計基準をいくらでも持って良いのだが、どうも運営は「カテゴリはランキングの集計のためだけにある」と考えている節がある。
これはランキングと関係ない「カテゴリのニーズ」を認識できていないからである。

運営は、カテゴリのニーズを理解した上で、この記事で挙げたものを含む諸々の問題を把握し、ユーザーの要望にその表層だけでなく背景まで見通した上で応えていただきたい。
「ユーザーの声を聞く」というよりは「ユーザーと相談する」つもりで運営してほしい。

そして、どうにかこの改変の周知にはげみ、特にジャンル未設定の投稿動画があるユーザーに対してはしつこいほど告知していただきたい。

ユーザーがすべき事

お前ら今声を上げないと老害だと思われるぞ。

これに尽きる。

この画像を見て欲しい。改変の内容について説明した運営生放送の最後にあったアンケだ。

見ての通りアンケでは過半数が肯定的に評価した。であるからこれを担保に運営は新仕様施行を推し進められる状態だ。

この生放送のコメントにしても、「今回の改変に反対するのは自分のカテゴリが消えないか心配な老害」という意見がかなり多く出ている。わざわざろくに周知されていない運営放送に来ている、という時点で新しもの好きな連中が多くなるバイアスがかかったのだろう。

そして、このままでは運営はこういった反応だけを参考にこれからniconicoを運営していくだろう。ただ仕様が変わるのが問題なのじゃない、安定性がなかったり、手順が乱暴だったりするのが問題だ、という事を改変の前から主張していかないと、後から声を上げても「老害が騒いでいるだけ」と見なされてしまう。

だから、、行動する事が必要なのだ。
ニコニコ窓口担当のTwitterやコミュニティをフォローして最新の情報を把握し、それを基にツイートや生放送で訴えたり、動画や静画やブロマガを公開したり、お問い合わせフォームに投稿したり、また運営に代わって多方面にこの事を周知したりしなければならない。
その際には既にブロマガで広く利用されている「ニコ動ランキング改変2019意見リンク」というタグをniconico全体で使っていく事が望ましい。

全ニコ動ユーザーは危機感を抱くべし。





…ところで、このインフォでひっそりと、動画ランキングに関するニコレポの提供を6月6日(木)までで終了させる、と書いてあるのだけど。
そういうこと、なのかな……。